たま駅長とニタマ駅長がダブル昇進!

和歌山電鐵 社長 小嶋 光信

昨年11月に念願の交通政策基本法が成立し、運輸規制緩和のミスリードでズタズタになった地域公共交通の存続だけでなく、地域活性化のツールとして機能できる素地が出来てきました。
先進諸国で地域公共交通を民間に任せきった国は日本以外ありません。多くは公設民営という手法で公共交通を守っています。

津エアポートラインによる公設民営の実証実験の成功から始まって、和歌山電鐵、中国バスの再生に加え、発表からわずか19日で営業停止というまさに事件ともいえる井笠鉄道の破綻を両備グループで救援し、井笠バスカンパニーとして地域の足を守ったことが審議再開と成立に大きく貢献したと思います。

私も同法の衆議院国土交通委員会の審議入りの際に参考人として呼んでいただいて、地域公共交通のビジネスモデルを脱した経営の原因や、運輸規制緩和のミスリードによる法律や財源の問題点について実例を挙げて説明させていただいて、同法の成立の必要性を力説しました。

特に地域公共交通の問題をリアルに、また身近に国民的課題と理解していただくのにこの和歌山電鐵の再建が貢献したと思います。貴志川線の未来を“つくる”会の皆さんや、温かく支援してくださった国、和歌山県、和歌山、紀の川の両市と、安全運行やイベントに献身的に努力してくれた社員、幹部の働きが大きかったと感謝しています。そして、この1月5日のたま駅長就任記念日に公務ご多忙な中に、鶴保前国土交通副大臣を始め、毎年必ず駆けつけてくださる仁坂和歌山県知事、山田議長、大橋和歌山市長、中村紀の川市長と濱口貴志川線の未来を“つくる”会代表と利用客の皆様に感謝です。

地域公共交通を惨めに再建するのでなく、いちご電車、おもちゃ電車、たま電車というユニークな水戸岡デザインの電車たちや年間80回以上というイベントで楽しく運営したことが、県民、両市民と国民的応援を生み出し、地域公共交通の問題点と必要性を理解していただくのに貢献したと思います。

中でも、和歌山県のみならず日本中、また香港、台湾、韓国というアジア地域と欧米での人気を勝ち得た「たま駅長」の活躍なくしてこの法律は出来なかったのではと思っています。

そこで、交通政策基本法成立記念として、その一翼を担ったたま駅長とその部下としてたま駅長を支えているニタマ駅長をダブル昇進させることにしました。 特にたまスーパー駅長は、和歌山県の観光のシンボルとして国内のみならず海外のお客様についても前年比240%アップという凄い実績で貢献し、観光招き大明神の威光を遺憾なく発揮したことにより、

「社長代理貴志駅スーパー駅長 たま
 貴志川線 14駅の総駅長職としウルトラ駅長を命ずる」

 ということで社長代理ウルトラ駅長に昇進させることにしました。

ウルトラ駅長とは和歌山電鐵の全ての駅長を統括する職制で、今後は貴志駅の駅長業務のみならず、後進の育成に励んでもらいたいという社命が含まれています。

ニタマ駅長は、就任2年目にして、たま駅長の公休日に貴志駅長代行を務めるだけでなく、伊太祈曽駅長を立派にこなし、和歌山市観光特別大使アゼリニャとしても活躍したことを評価して、

「伊太祈曽駅長ニタマ
 課長職とし、スーパー駅長を命ずる」

 と発令しました。

2006年の再建開業日のご挨拶で、「私は和歌山電鐵の10年間の再建だけでなく、20年後、30年後の存続のためにやってきました。」と申し上げましたが、いよいよ10年目の2016年が目前となりました。

和歌山電鐵の公設民営による本格的な存続は、今後の全国の地方鉄道の再建の模範になるでしょう。
そして、この交通政策基本法が地域公共交通を維持する財源の確保に苦しむ地域の財源問題の解決にお役に立つように今後も頑張りたいと思います。

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